志甫 雅人

志甫 雅人

志甫 雅人

(公財)石川県デザインセンター チーフディレクター

今回の国際漆展・石川2020も、春先からの新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、4月中旬の1次審査が、審査員が集合しないかたちでの審査会となった。審査員と開催委員会事務局長とを兼ねる身として、たいへん記憶に残るコンペ事業のスタートであった。

1次審査が応募作品の画像による審査のため、集合しない審査も可能であったのであろう。作品応募数は215点で、デザイン部門とアート部門の部門制となった前々回や前回と比べて最多であった。そして画像審査の結果、80点の1次審査通過作品が選定された。内訳としてはデザイン部門34点、アート部門46点であった。その応募者もまさしく老若男女であり、20代前半の学生から70代の大ベテランまでの男女の方々であった。

6月に入り、幸いにも新型コロナウイルス感染拡大に伴う都道府県をまたぐ移動制限も緩和され、県外からの本審査員も招いて実物作品による本審査を無事に開くことができた。今回はいつも以上に秀逸な作品が多く、最初の投票では多くの作品に審査員の票が分散した。そして話し合いと何度かの投票を経て入賞作品が決定した。
このようにコロナ騒動に翻弄されながらも、振り返ってみると実りの多いコンペだったと感じている。デザイン部門の作品が初めて大賞を射止めたり、アート部門の若手女性作家たちが頑張っていたり、デザイン部門では長く大切に使える暮らしの道具が提案されたりと、このコンペのテーマである「漆の新しい広がり」を実証している作品にあふれていたと思う。今後の展開がたいへん楽しみである。

 

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