御手洗 照子

御手洗 照子

御手洗 照子

㈱t.gallery代表取締役
㈲T-POT代表取締役

今回から1次審査に加え、初めて本審査に参加させて頂きました。毎回、応募作品のレベルが向上していることを実感しています。今回も質の高い作品が数多く寄せられ、全体として非常にレベルの高いコンペティションとなりま
した。

金賞の「めぐりゆく」。決して派手ではないのですが、遠くからでも目立つのは実際の大きさ以上の空気感をまとっているからだと思います。上に伸びる線は、そのまま宇宙の果てまでも続いていくように感じさせます。近づくと線と見えた軌跡は実に巧みな面を持つ立体だと分かります。木と漆という素材にしかできえない軌跡です。木の処理と塗の絶妙な組み合わせで木の持つ重さ、堅固さ、粗さなどを感じさせず、その暖かさ、しっとり感は失わない。それはこの巧みな面の取り方、仕上げの塗りの美しさから来るものなのでしょう。表現したい思いがあり、その表現を可能にするための技術を追求する。正に現代工芸を体現している作品だと思います。

御手洗照子賞には「Through the Layers – Wide」を選びました。一言でいうとセンスの良い作品です。このセンスというのは作家の身についたものであり、人から教えられたり学んだりできない、貴重なものです。考え方や、生まれながらのもの、小さい頃から見てきた自然や事物の影響もあるのかもしれません。大胆かつ繊細な乾漆、研ぎ破りを蒔絵としてなぞり描き、漆の重なりの痕跡を見せるという表現の仕方からも作家が漆を深く愛し、自分のものにしていることを感じます。ダイナミックな全体感と細部の絶妙な調和もセンスのなせる業だと思います。他の作品も見てみたい、ワクワクさせてくれる作品です。

 

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