山村 真一

山村 真一
デザインコンサルタント
2026年度は、日本国内および世界各地の地震や天候不順、不安定な経済、物流等の影響が大きく、きっと応募件数は従来に比べ相当減少すると思っていたが、意外に多く、国内、海外合わせて215件、海外65件という素晴らしい応募状況に驚かされた。
また今回は、類似作品が少なく実に多様な作風が多かったことも特徴であった。アート、デザインともにユニークなテーマのものが多く優劣の比較が難しく、上位賞の審査段階では難しい判断による討議が必要となった。
大賞に選ばれた村本真吾氏の「枝羽-環るⅡ-」は、テンションを効かせた竹のフレームに張られた麻布と漆の面が見事な3次元の空間を演出しており、その緊張感からなる高い造形力が評価された。まさしくテーマのように多くの繰り返す森羅万象の無常を若い力で表現した作品と言えよう。
応募数65点の海外部門においてもこの多様性の傾向は強く出ていて、デザイン部門の銀賞に選ばれたフランスのニコラ・ピノン氏、ディミトリ・リンカ氏、トキ・ケンジ氏による「ASA」のユニークな面構成の作品は高く評価され、まさしく国際コンペらしい一面を見ることができたと言えよう。
今回は大賞1点および金賞2点、銀賞2点、奨励賞2点に審査員特別賞7点の合計14点が受賞され、年代層も性別も広がりのあるコンペであったことは珍しい。漆工芸のような技術が古代から伝わる分野のコンペでは受賞者が高齢化することが多かったが、今回は世代が広がり大変良かったのではないだろうか。
国際漆展・石川2026は実に多様性に富んだ国際コンペティションであったが、この高いオリジナル志向の力強いエネルギーが新しい漆の世界の原動力となり、次世代の新しい工芸の世界をもけん引していくことを願ってならない。
