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開催概要  Prospectus

栄久庵 憲司
インダストリアルデザイナー

ご存じのように、漆そのものがjapanといわれるぐらいで、世界的に有名です。戦後、日本はカメラをはじめ精密機械から自動車に至るまで、世界的になったことは事実です。それと匹敵するものに、何が誇りに思えるかと考えた結果、漆にたどり着きました。さらにそこには工業製品にはない、気持ちの心底からすきっとさせる力があります。まさに心のひだを慰めてくれるものではないでしょうか。
今回、特に記憶に残っているのは、大賞の中国の方の作品のように、技術的なことより、むしろ思想的というか、メッセージ性の高さが非常に際立っていることです。
私はいろいろな審査会に招かれてきましたが、退屈するのは嫌だなといつも思っていました。しかし今回の審査会は退屈しませんでした。変化に富んだ皆さんの日常生活がそのまま出てきて、それがグローバルになっていくだろうということを予見させ、特に新たな中国の方々の作品に新しい方向性を感じました。
これまで本展を開催されてこられた関係者のご苦労とご出品いただいた皆様方の熱意に感謝し、今後ますますのご発展を願っています。

大西 長利
漆芸家
東京芸術大学名誉教授

漆という自然素材、塗るという丹精込めた手技、そして加飾という美の意味を深く見つめなおし、創造性を最大限に発揮した新しい漆のかたちが生まれてくることを願って、夢と期待を持ってこの展覧会に臨んできました。
東日本大震災の影響でしょうか、いつも沢山の出品があるフランスからの出品はなく残念なことでしたが、中国からの出品が増え、そのレベルが急激に向上してきました。浙江省美術学院の24歳の若い女性の詩情を湛えた作品が大賞を受賞しました。今後の国際漆展の発展につながる大いなる希望と見てよいでしょう。
工芸的領域では、器に象徴される用という根源的な課題の認識がここのところ希薄ではなかったのか、オブジェ的なものが創作の未来を示すような見方もありましたが、今はその解釈と表現の過渡期にあると思います。
漆という素材と技術には言葉に尽くせない凄い魅力を含んでいます。芸術家や職人、産地企業など、漆と向き合う人が、何を感じ取って、どういう表現をしてくれるかは、本当に期待されるべきことです。これからも、世界に向けて漆の魅力を発信していきたいと思います。

小松 喨一
金沢卯辰山工芸工房館長
(財)石川県デザインセンター副理事長

国際漆展もこれで9回です。同じ石川県金沢市で開催されている国際ガラス展は11回を数えています。このような国際展が二つも開催されているということに、石川県が工芸に対して非常に関心が強く、理解があることを表れとして、非常に感謝すると同時に県民の一人として誇りを持っています。
今回は、東日本大震災の影響でしょうか、東北や東京、海外からの作品が少なかったように思います。しかし、中国や韓国から多数参加していただき、国際的な雰囲気も出ており、大変まとまりの良い公募展となりました。特に、日本や中国の若い世代の台頭が注目されました。
今回の作品についても、作り手の思いや創造性に加え、技術が非常にしっかりしていたような気がします。工芸で大事な素材や、技術・技法・生活背景といったものが、作品にはっきり出ていたという印象を持ちました。また、大賞を含む上位の金賞・銀賞14点のうち、8点が学生や若い漆芸家たちであったことに新鮮な驚きを感じました。
この世代の人たちが、次回の公募展でどのように成長していくのか楽しみに期待いたします。

権 相五
漆芸家
新羅大学校芸術大学工芸学科教授
新羅大学校漆芸研究所所長(韓国)

今回も審査員として招待いただき、本当に光栄に思います。前回は韓国から50点ぐらい作品を出品していましたが、今回は半分ぐらいしか出すことができませんでしたが、様々な創作の方向性や技法の展開をお見せできたと思っています。
今回の審査会場に入っての第一印象は、これまでに比べて全体的に作品のサイズが小さくなったような気がしました。しかし、本当に驚いたのは、作品が若くなったということです。つまり、出品している人たちが若くなったということです。
石川県からの作品には、若い人の素晴らしい作品が沢山ありました。それから、中国からの作品は、今までのような伝統的な中国らしい作品ではありませんでした。
中国ではあちこちでたくさん展覧会が開催されていますが、大賞の「相思」のような作品を見ることはありませんでした。今回、中国からは、詩情にあふれシンプルで現代的な作品が出ていました。日本の作品にかなり影響を受けたのだと思います。
新しい漆の方向性を感じるとともに、これから漆はますます発展するのではないかと確信しました。

前 史雄
漆芸家
重要無形文化財「沈金」保持者

今回で3回目の審査に当たりました。前回2回は本審査からでスライド審査には参加しませんでしたが、今回は初めから通して見ることができました。
私は、絶えず「用と美」を考えているのですが、この展覧会は、伝統工芸やクラフトのみならず、オブジェ的なものでも、いわゆるアート的なものでも、要は漆という素材と技術で何を表現するかを一番大切にしています。
今回は、かなり輪島の作品が出ていました。ものを作りたいというイメージから形に持っていくには、当然のことながら素材を扱う技術が必要になります。特に工芸となると、その素材と真っ正面から向き合うことになります。素材を十分生かして、最終的にどのような表現に持っていくかが要求されます。
特に輪島では技術を重要視します。技術がないと仕事はありません。もちろん職人の世界ですから、どうしても技術が先に立つのですが、堅くて現代の空気を感じないのが惜しいと思っています。もう少し現代の生活空間との融和を考えていく必要性も感じます。
今回の展覧会では技術も見ましたが、まずは何を表現しようとしているかというところを見て審査しました。

山村 真一
デザインコンサルタント
(株)コボ代表取締役社長

全体としてとても印象深く思ったことは、素材と技術の使い方の幅広さです。ケヤキ、竹、桐、繊維、陶磁器、布、紙などの多様な素材を用いて、美しい造形に取り組み、箔、卵殻、螺鈿といった多様な加飾技術を見事に使いこなして、多様化した内容であったと思います。
また、技術だけではなく、作品が持つ優しさや心が前に出てくるような作品が多かったということは、漆の世界もまさしく今の時代背景を反映しており、これからの優しい社会のあり方をもう一度考えるという側面からも、非常に意味のある展覧会であったと思います。
どこの漆器産地も窮地にあって、苦しんでおられることはよく分かります。変化する現代生活への対応や円高やデフレなど、いろいろな要因があると思いますが、やはり今まで安くて大量に作る方向だけにエネルギーをかけすぎたことが問題の一つかと思います。ですから、商品を魅力的に演出するデザインにパワーを注いでいくと、少し変わった局面が出てくると思います。
こういう場を借りて、これからの新しい漆器の商品開発にもぜひ挑戦していただきたいと思います。

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