Discussion
講評会
漆の新しい広がり
今回が節目の第 10 回展となる「国際漆展・石川2014」は、新しく「デザイン部門」と「アート部門」の部門制を設け作品公募を行ったところ、15 の国と地域から、前回の 151 点を大幅に上回る 207 点の作品応募がありました。
5 月 23 日 ㈮の画像による 1 次審査で 11 の国と地域 72 点の作品が通過し、展示会に向けて 11 の国と地域 71点の作品が寄せられてきました。
そして 8 月 7 日 ㈭の本審査会で 16 点の入賞作品が決定しました。
本審査翌日の 8 月 8 日 ㈮に開催したこの審査結果発表・講評会では、審査員の皆様方から審査結果の報告と入賞作品に対する講評を頂くとともに、本審査を振り返っての感想や漆の明るい未来像への期待などを語って頂きました。本稿では、その概要をご紹介します。
- 日 時
- 平成 26 年 8 月 8 日 ㈮ 午前 9 : 30 〜 正午
- 会 場
- 石川県地場産業振興センター本館 1 階 第 7 研修室
- 講 師
- 栄久庵 憲司
- インダストリアルデザイナー
- 大西 長利
- 漆芸家、東京芸術大学名誉教授
- 小松 喨一
- 金沢美術工芸大学名誉教授
- 前 史雄
- 漆芸家、重要無形文化財(沈金)保持者
- 山村 真一
- デザインコンサルタント、㈱コボ代表取締役社長
- 司 会
- 荒川 隆男
- 国際漆展・石川開催委員会副委員長
(公財)石川県デザインセンター専務理事
開会と講師紹介
荒川 ───── おはようございます。ただ今から国際漆展・石川2014の審査結果発表・講評会を開催します。私は、国際漆展・石川開催委員会の副委員長を務めます石川県デザインセンター専務理事の荒川です。本日の講評会は、審査員の皆様と会場の皆様との忌憚のない意見交換の場にしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。先生方には本当にお忙しい中、遠くから金沢までお越しいただき、また、昨日は素晴らしい作品の中から賞を決めるという大変なお役目を果たしていただき、誠にありがとうございました。
まず、本日ご出席の審査員の先生方をご紹介します。審査員の皆様は世界的にも著名な先生方ばかりですので、こうした機会はめったにないと思います。最後までお話を聞いていただければ幸いです。私のお隣から、東京芸術大学名誉教授で漆芸家の大西長利先生、日本を代表するインダストリアルデザイナーの栄久庵憲司先生、重要無形文化財(沈金)保持者で漆芸家の前史雄先生、デザインコンサルタントで株式会社コボ代表取締役社長の山村真一先生、金沢美術工芸大学名誉教授の小松喨一先生、以上 5 名の審査員の皆様にご登壇いただいています。なお、昨日ご審査いただいた韓国の権相五先生は、都合により本日はご欠席されています。
開催概要と経過報告
荒川 ───── 最初に、本展の概要と経過について簡単にご説明します。国際漆展は、「漆の新しい広がり」を目指す国際公募展として平成元年(1989年)に始まり、今回で 10 回目の節目を迎えます。漆を用いた新しい生活や新しい感性の提案などを広く国内外に求め、漆産業の活性化と、漆を通じた国際交流の推進、生活文化の向上を期待して開催してきました。
今回は 10 回目という節目であることから、新しく「デザイン部門」と「アート部門」の部門制を設けました。昨年 11 月から公募を開始し、前回の 151 点を大幅に上回る 207 点の作品を、15 の国と地域からご応募いただきました。そして 5 月 23 日に、大西先生、小松先生、山村先生、それから本日はお見えではありませんが御手洗照子先生の 4 名で、画像による 1 次審査を行いました。大変厳しい審査となりましたが、その結果、1 次審査通過作品として 11 の国と地域から合計 72 点を選びました。そのうち1点は本審査を辞退されたので、今回の本審査には 71 点の作品が送られてきています。大変な力作ぞろいで、本審査も非常に厳しいものとなりましたが、昨日、入賞作品を決定しました。
入賞作品のうち、大賞と10回展記念特別賞、金賞の2作品は皆様の前に展示していますので、ご覧いただきながらお話を聞いていただければと思います。また、その他の結果についてはお配りしている資料に記載していますので、ご覧ください。概要および経過については以上です。
この後の進行は、1 次審査、本審査で審査委員長という大役を務めていただいた大西先生にお願いしたいと思います。大西委員長より第 1 次審査と本審査の概要をご報告いただいた後、入賞作品について各先生方からコメントを頂きたいと思います。また併せて今回の審査を振り返っての感想や漆の明るい未来像への期待なども頂戴できればと思います。審査員の皆様よろしくお願います。