講評会

質疑応答(1/2)

棗 ─────以上で、全ての賞についてのコメントを頂きました。審査員の皆さま、大変貴重で示唆に富んだご意見を賜りまして、誠にありがとうございました。皆さまもご覧のとおり、そうそうたるメンバーが審査員に名を連ねてございます。せっかくの機会でございますので、会場の皆さまからのご質問等について、時間の許す範囲でございますけれども、お受けしたいと思います。ご質問等を希望される方は、自席において挙手をお願いいたします。希望される先生がおいでましたら、どの先生かということもお話しいただけますか。
質問者1 ─────今日は参加させていただいて、ありがとうございます。特にどなたということはないのですが、せっかくなので質問させてください。今回の受賞作品は本当に素晴らしいものばかりで、私も今回応募させていただいたのですけれども、大変感銘を受けました。全体的にアート系のものが受賞することが多かったかと思うのですが、デザイン部門もあるということで、一般の方が使う器というか、いわゆる漆器のようなものに期待されることや、今後に向けて、こんなものが出てくると面白いなということはありますか。私はどちらかというとアート寄りというよりはデザイン寄りで、そういうものを出させていただいたので、そちらに対する期待やご感想などを聞けたらいいなと思いました。よろしくお願いいたします。
棗 ─────山村真一先生から、一言ずつ皆さんにご発言頂いてよろしいでしょうか。
山村真一 ─────日常に使う漆器の在り方については、まず素材の問題が一つあります。漆というのは、先ほども先生方からお話が出ましたが、本当に扱いにくい材料であるのですね。現在普及しているプラスチックの容器と比べると、工程も随分多いし、素材自身も本当に扱いにくい。しかも、価格もどんどん高くなってきている。例えば石器時代あたりでは、身の回りに漆の木が繁茂している状態であったことは間違いないと思うのですね。それの樹液を頂きながら、縦穴式住居の中でそれを乾燥したり削ったりする工程で作り上がっていく商品であったはずなのが、分業化が進んでいったり、産地での漆の木の植林がなかなか進んでいかなかったりということで、僕はすごく残念に思うのです。大西先生は実際に漆の林の中で生活されているという羨ましい状況なわけですが、例えば山中(※石川県加賀市)ですと、漆の紅葉は本当にきれいなのですね。もっと日本国内で、漆を全体として見せながら、素材の美しさ、その価値の在り方さえあれば、値段が少し高くても十分楽しめるいい素材であることは間違いないと思うのです。
ましてや、今回のように、オイルショックでもう入らなくなった途端に困ってしまうのではなくて、本当は漆も90%以上が輸入されているという悲しい状態なのですが、身近なところでもっと漆と近づいていく生活を提案されるべきだと思います。
加工については、今、日本の生産地がたくさんある中で、どんどん新しい若い人たちを育て上げているのは、本当に石川県がトップなのですね。こういうことも国際漆展・石川でもっと表現したらよいと思います。そして、漆のコンペの中に生活に必要なものが、もっと出てきていいのではないかと思うのですね。今回、寄せられた215点の中で、生活漆器というのは数少ない点数でした。見ていて吹き出すようなイソップ物語のかぼちゃが出てきたり、アートの方がずっと元気に頑張っている。生活漆器をやっている人ももっと楽しんで、作る喜びから生まれた商品に共感するユーザーを見つけていくということがもっとあってもいいのではないかと思うのです。ちょっと長くなりましたが、私のお願いです。
川上 ─────例年は生活漆器がたくさん出てきているのですけれども、今年は特に少なかったですね。興味を引くのももちろんありましたけれども。日常使いのもので、特に楽しく気楽に使うという中に、何か気を引くもの、何か魅力を感じるものがあった方が、マンネリで価格だけの競争でいくよりはいいような気がしているのですけれども、それを作るためにも素材の豊富さが必要です。日本の漆は浄法寺でほとんど作られて、他の産地では、産地と言いながら素材はないというか、中国から漆を輸入したりしています。安いからということもあるのでしょうけれども。国産の漆には優れた点があるわけですから、たくさん生産すれば、値段は下がってくるのではないかと思っていて、そういう豊かなものを使いながら、気楽な雑器を醸成していくといいという気がしています。
それと、食生活の中で漆を使う場面が割合限定されているのですが、和食だけではなく、国内でも国際的ないろいろな食事がありますから、そういう中で、漆がどういう形で使えるかという、新しい見方で考えてみるといいのかもしれません。漆に合う料理という方向から考えてもいいですよね。物だけではなくて、漆器を使う食生活をデザインする、仕組みを考えるなどを一緒に考えていかれるといいかもしれません。日常使いの器で、商業として、市場の中で成功するというのはなかなか難しいことではありますが、もっとダイナミックに、数も増え、また関わる方も増えてきたらいいなと思っております。特に、こちらは災害(※2024年1月能登半島地震、同年9月能登半島豪雨)の後、勢いがなくなっているところはありますが、そのうちにまた盛り返してくるものと期待はしております。

タイトルとURLをコピーしました