講評会
大賞受賞作品について
棗 ─────少し前置きが長くなりましたが、早速講評に入りたいと思います。審査員の皆さまから、各入賞作品について、評価のポイントや感想などのコメントを頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
初めに、大賞の作品、村本真吾様の「枝羽―環るⅡ―」です。山村真一先生、コメントをお願いいたします。
山村真一 ─────今回の漆展の大賞でもある村本さんによる乾漆の「枝羽―環るⅡ―」は、不思議なネーミングでもありますし、竹のしなったフレームの間に麻布のシートを張り巡らせ、そのたわんだ曲面を漆で塗り固めるという不思議な作品で、各審査員は審査が始まると同時にかなり着目していました。今までこういう種類のものが少なかったのですが、この作品は非常によくまとまり、そして、磨かれた麻布の張りが見事な美しい形態を表現する上で大成功しています。テーマは循環で、一つの生命を持ったものが、いつかはまた元の土に還り、それが繰り返されるという成り立ちを表現されたそうです。竹材のたわんだ面に、布という伸縮性の少ない材料をテンションで見事に張り巡らせ、面構成をしていく。しかも、それをまた漆で塗り、研磨して仕上げていくというとても不思議な表現で、これは本当に新しく、これからの時代の漆の在り方に一石を投じたということで、高く評価されました。今回は特に海外の多くの国々から応募があって、多様な作品の多いコンペティションであったわけですが、この素晴らしい作品が石川県内から発信されたということは非常に喜ばしいことです。本当におめでとうございます。
棗 ─────山村真一先生、どうもありがとうございました。ただ今の大賞を受賞されました村本様がこの会場にお見えでございますので、ご紹介したいと思います。前の方に出てきていただきまして、今回受賞されましたお気持ち、作品に込められた思いなどについてコメントを頂ければと思います。村本さん、どうもおめでとうございます。
村本 ─────ありがとうございます。改めまして、村本真吾と申します。この度は、名誉な賞を頂きまして、ありがとうございます。
実は、この作品のシリーズは、私が30歳ぐらいのときから、もう25年ぐらい、竹の枝と乾漆を融合させるという手法で制作してきました。変化の激しいこの現代において、天然塗料、自然塗料の漆というものが、どのようなメッセージ性を持つかということをいつも私は考えながら制作しています。このような形で評価されたことを大変うれしく思っております。ありがとうございます。

大賞
枝羽 -環るⅡ-
Wing of Foliage –Circle of Life Ⅱ–
W62 × D55 × H62
村本 真吾
MURAMOTO Shingo (Japan)
