講評会
金賞受賞作品(2点)について(1/2)
棗 ─────村本さん、どうもありがとうございました。村本真吾様に、いま一度、大きな拍手をお願いいたします。
引き続きまして、金賞の作品でございます。2点ございますので、初めにアート部門の作品、村田佳彦様の「めぐりゆく」でございます。御手洗先生、よろしくお願いいたします。
御手洗 ─────この会場の中で、漆のことを一番知らないのは私ではないかなというぐらいなのですけれども、ほんの少し長く生きたせいで、量産ものから作品まで、伝統工芸から現代工芸まで、広いジャンルを見てこられたかなと思っています。この村田さんの作品は、周りの空間をすごく感じるのですね。このシュッと伸びた先に、またずっとどこにつながっているのだろうといった、広い空間を感じさせる作品だと思います。
よく見ると、本当に繊細に作られているのですね。この一つの木のねじれたような感じ。それから、実に全体のフォルムと細かいテクニックが一体となっている。伝統工芸というのは、技術があって、その技術を特に見せるという意図を感じるのですけれども、現代工芸、現代美術は何が違うのかというと、何を表現したいかということがまずありきで、その表現をするためにどんな技術が必要なのか、そこから技術を掘り下げていく、この順番だと思うのですね。だから、ぱっと見ではその技術のすごさに気付かないのです。ただよく見ていくと、実はすごい技術が内在されている。全体感が素晴らしい。それをこの作品に感じます。このような作品は作った方にすごく会ってみたいと思うし、他の作品をたくさん見てみたいなという気持ちにさせられました。
棗 ─────御手洗先生、ありがとうございました。ただ今の金賞を受賞されました村田様がこの会場にお見えでございますので、ご紹介したいと思います。どうぞ前の方に出てきていただきまして、今回受賞されましたお気持ち、作品に込められた思いなどについてコメントを頂ければと思います。
村田 ─────金賞を頂きました村田佳彦と申します。私は漆を始めて20年以上はたっているのですが、国際漆展・石川には初めての出品で、このような賞を頂けたことをとてもうれしく思っています。
この作品は、カエデの木を削り出して作っているのですけれども、学生の頃からずっと漆の黒から影をテーマに作品を作ってきました。影というのは元々は光という意味があり、それで、ずっと影をテーマ、コンセプトにしながらも、光というものをいつか表現してみたいなという思いがずっとありました。それを初めてやってみた作品なのですが、自分の中では、本当にこれが自分の思う光が表現できているのかというのが分からなかったので、あえて今回出品しました。それで、このような賞を頂いたので、外れていなかったのかなと思っています。この度はどうもありがとうございました。

金賞
めぐりゆく
Circulating Glow
W81 × D34 × H19
村田 佳彦
MURATA Yoshihiko (Japan)
