講評会

審査員特別賞受賞作品(7点)について(7/7)

棗 ─────それでは、最後になりますけれども、志甫雅人賞です。平井拓登様の「悠然と」でございます。志甫さん、お願いいたします。

志甫雅人賞 悠然と

志甫雅人賞
悠然と
Take It Easy
W36 × D38 × H18
平井 拓登
HIRAI Takuto(Japan)

志甫 ─────感じるのは、この作者はカエルというものが本当に好きなんだなということです。初見から、作品からカエルに対する作者の親愛なる眼差しがひしひしと感じられました。これは乾漆でできていて、造形性もかなり高く、実際のカエルとしては大きいサイズなのですが、それにもかかわらず、すごくかわいらしさがあります。先ほどもちょっと申し上げたのですけれども、違った意味のかわいらしさといいますか、そういったものを感じさせます。
また、いわゆる仕上げなのですけれども、漆の透明感を含んだ、艶やかな、しっとりとしたと言ってもいいのですが、そういった質感が、カエルという両生類が持つ以上の、この世にないような質感というものを表現していると感じております。
この方は香川県在住なのですけれども、一部、目、耳の辺りに蒟醤(きんま)を使った加飾が効果的に用いられているのも特徴です。
こういう作品は、もちろんギャラリーで展示されてもいいのですが、日常の暮らしの中で、もう少し小さいサイズでもいいと思うのですけれども、さりげなくあっても非常に楽しいのではないかと思いました。
非常にリラックスした、肩肘の張らない作者の生き様や心の在り様というものがこういう造形物の中に表れて、伝わってきているのではないかと感じております。
こういう審査をこれまでずっと継続的にさせていただいて、先ほど講評があったクロヒョウの作品も、ギャラリーではなくても、普通の暮らしの中にあって、これといった用途はなくても、さりげなくそれを所有されるというか、見ている方の心のよりどころになるような漆作品が今後増えていくのではないかという気がしておりますし、また、期待もしております。この作品は、コンペ用ということで、ある程度の大きさで出していらっしゃいますけれども、もう少しサイズダウンしても、すっかり暮らしの中で溶け込むような気がしております。以上です。
棗 ─────志甫さん、ありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました